ご挨拶

 この度、第57回日本実験動物学会総会(大会)を2010(平成22)年5月12日(水)~14日(金)の期間、京都テルサにて開催致します。本大会は社団法人日本実験動物学会の定期学術集会であり、前身の日本実験動物研究会(1951(昭和26) 年に発足)から引き継がれてきております。京都では、1974(昭和49)年、1990(平成2)年以来、丁度20年ぶりの開催となります。

 

 実験動物学の研究は、1)実験動物と動物実験の質の向上、2)新たなモデル動物の開発とその利用促進、を主なテーマとしており、我が国では本学会を中心にして産官学の連携の基に培われてきました。その成果は、ライフサイエンスの発展に大きく寄与しています。そして、生命科学の基礎研究と疾患の治療や予防の研究に代表される応用研究に、実験動物は欠くことができません。この潮流をさらに押し進めるには、本学会員が一体となり、未来の方向性を示す必要があります。そこで、今回の第57回大会においては、参加者が一体となった全員参加型の学術集会として、実験動物学の重要なテーマについて知り、学び、議論する機会にしたいと思います。また、学生や若手の研究者に魅力的な集会にしたいと思います。

 

 シンポジウムについては、大会企画シンポジウムを3件準備しました。シンポジウム1は、「実験動物学を考える -遺伝と環境を統御した優れた動物実験-」というテーマです。モデル動物の開発、実験動物の遺伝統御、および実験動物の飼育・実験環境の整備には、格段の進歩があります。本シンポジウムでは、遺伝と環境を統御した動物実験の意義、考慮点、成果を学び、実験動物学の方向性を求めたいと思います。シンポジウム2は、「動物実験で判った個体の形成」です。動物個体が如何にして創り上げられるかは、実験動物学を含めて医学生物学の共通の興味です。このシンポジウムでは、受精から個体の形成に至るステージに焦点を絞り、最新の知見を紹介することにより、生命科学における動物実験の意義を示したいと思います。シンポジウム3は、「再生医療の幕を開く動物実験」です。ES細胞、iPS細胞の開発と利用には、目覚ましい進歩があります。本シンポジウムでは、それらの臨床応用を目指した基礎並びに応用研究の最前線を紹介することにより、今後、この新たな研究分野に実験動物および動物実験が如何に貢献するかを探りたいと思います。

 

 学術集会委員会企画としましては「感染症の動物モデルを考える」をテーマにシンポジウムを、「動物実験に関する法規制の近未来について-動物福祉・倫理委員会における考察-」をテーマに教育講演および総合討論を行います。多彩な研究の最前線については、会員による一般発表(口頭発表・ポスター発表)においてご紹介して頂きます。ポスター発表においては、第1日目の夕刻に軽食と飲み物つきのポスター発表の時間を設けて発表者との自由な議論の場を作ることにしました。そして、学生を含む若手研究者の優秀な一般発表については、表彰の機会を作る予定です。展示会場においては、参加企業の新製品や新技術が紹介されます。

 

 また、本大会では市民公開講座「動物から学ぶ」を企画しました。これは京都市、京都市教育委員会、京都新聞社の後援で、奈良県立医科大学の大崎茂芳先生と京都大学霊長類研究所の松沢哲郎先生をお招きして、大崎先生には「くもの糸の秘密」を松沢先生には「チンパンジーの親子と教育」というテーマでご講演を頂く予定です。

 

 本大会が今後の実験動物学の発展にとって大きな役割を果たすとともに、会員相互の交流、市民との交流においても有意義なものになるようにしたいと考えておりますので、会員各位の積極的な参加をお待ち申し上げております。

 

2009年8月吉日

                         第57回日本実験動物学会総会
                         大会長 芹川忠夫
                         (京都大学教授、大学院医学研究科附属動物実験施設長)